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直樹とゆう子の物語

 

直樹とゆう子の物語

直樹とゆう子の物語
 
直樹とゆう子の物語
『ふたりのイーダ』がこの世に生まれたのは、昭和44年(1969年)です。
日本に原爆が落とされた事実を残す役割を担うかのように、長編童話としてまとめられました。その後、社会問題を告発する童話という位置を持ち、全5刊が出版されます。高度成長期の弊害、戦争による被害者と加害者など、子供達に重いテーマを突き付けていますが、あの世とこの世の不可思議な世界に引きずり込まれながら、その問題と向き合っていくことになります。
講談社で始まった「直樹とゆう子の物語」でしたが、2作品目の『死の国からのバトン』昭和51年(1976年)『私のアンネ=フランク』昭和54年(1979年)『屋根裏部屋の秘密』昭和63年(1988年)『あの世からの火』平成5年(1993年)は、いずれも偕成社からの出版となっています。
実際、ドイツや中国にまで赴き、戦争によって人間が暴走する怖さを実態調査しつつ描かれており、後世に残してゆきたい貴重な作品群でもあります。
さて、福島の原発事故以降、日本が取り組まなければならない問題が次から次へと生じています。母は、原子力発電所第1号が出来た時、「日本は原爆を受けた国なのに、こんなものが稼動したら大変な事になる。」と言い、家中の電気を消して歩きました。電気の無駄をしないためです。旗を降るのではなく、身近な実行こそが大事なのだと教わった気がします。それにしても、この国の電化製品の多さ、便利だからと言って、つい購入してしまった自分に反省しています。便利だからと言って、原子爆弾を作り出せるプルトニュウムを生み出す物を増やす、稼働させることに無関心になってはならないという母の教えです。
文 瀬川たくみ